株式会社エステムトップページ
サービス案内会社案内採用情報環境活動コラムお問い合わせサイトマップ
サービス案内
会社案内
採用情報
環境活動
コラム
お問い合わせ
トップページ

トップページ > コラム

今月のコラム

人知れず消えゆく生き物  2021.4.1
幸田浄水事業所 青木 義幸

 日本には豊かな自然が残されており、約30万種を超える生物がいると考えられています。その一方で、多くの生物たちが絶滅の危機に瀕していることも事実です。
 日本では環境省、地方公共団体やNGOなどによって絶滅の恐れのある野生生物種リストとして、レッドリストが作成されています。環境省のレッドリストは動物、植物、海洋生物に分けられて作成されています。各リストは分類群ごとに専門家によって検討され、評価が決定されています。動物では、@哺乳類 A鳥類 B爬虫類 C両生類 D汽水・淡水魚類 E昆虫類 F貝類 Gその他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群に、植物では、@維管束植物 A蘚苔類 B藻類 C地衣類 D菌類に、さらに海洋生物では、@魚類 Aサンゴ類 B甲殻類 C軟体動物(頭足類) Dその他無脊椎動物(宝石サンゴ、環形動物、腕足動物等)に分けられています。レッドリストでは「絶滅」、「野生絶滅」、「絶滅危惧(TA類, TB類, U類)」、「準絶滅危惧」、「情報不足」、「絶滅のおそれのある地域個体群」のカテゴリーに分けられ、その中でも絶滅の恐れがある絶滅危惧種は、動物1,446種、植物2,270種、海洋生物56種の合計3,772種がリストアップされています。
 絶滅危惧種(TA類)としてよく知られている生物としてトキがいます。トキは明治時代に羽毛をとるために乱獲され、昭和以降は、森林の伐採による繁殖地の減少、農薬の多用による餌動物の減少、山間部の水田の消失などから野生個体が絶滅してしまいました。その後、懸命な保護活動が行われ、現在では毎年、飼育されたトキが放鳥され、その個体数を回復しつつあります。
 トキの様に大きな生物は目に見えて個体数の減少が確認でき、保護することもできますが、目に見えない小さな生物はそうはいきません。滋賀県のレッドリストに絶滅危惧種T類として掲載されている種(残念ながら環境省のレッドリストには挙げられていません)に、ビワツボカムリという微生物がいます(図)。ビワツボカムリは1918年に最初に記載され、琵琶湖の固有種として知られていましたが、近年、中国のムーラン湖などで類似の種が確認され、固有種に「?」マークが付いています。ビワツボカムリの殻長は300-400 μm(中国種は一回り小さいので別種の可能性もあります)と比較的大きな微生物ですが、肉眼での認識は難しい生物です。かつては琵琶湖全域で確認されていましたが、1960年代からは採集される数が減少し、近年では殻が確認されるだけでもニュースになる程、見られなくなってしまいました。生体については1981年を最後に確認されておらず、日本において絶滅の危険性が高い種となっています。
 ビワツボカムリが絶滅に瀕している一方で、最近、ビワツボカムリと同じ、有殻アメーバの仲間の新種が青森県小川原湖で発見されました。日本国内においてもまだまだ発見されていない小さな生物が環境中に潜んでいる可能性がありそうです。そんな小さな生物たちも人間による開発や環境汚染の影響から、知らず知らずのうちに絶滅に追いやられ、名もなき絶滅種となっている可能性は否定できないですね。

 >> バックナンバー

このページの先頭へ


Copyright © 2006 Stem Corporation All Rights Reserved. プライバシーポリシー